ささくれ
ささくれをむこうとしたら、 コンビニのおにぎりのような感じでクルっと1周して、 全身の皮がきれいに剥がれ落ちてしまう。 醜くなったその身体に近づこうとする者は誰ひとりとしておらず、 自分が「白人」としていかに優遇された生活を送ってきたかに気づく。 そんな絶望の淵に立たされた主人公が、 ある日1人の貧しい黒人少女に出会う。 少女は汚らしい服を着て、 ほんのわずかなお金のために毎日身を削って働く。 しかしその目は輝いていて、希望に満ち溢れていた。 彼女は主人公の唯一の理解者だった。 お互いの夢や価値観の合う2人は、しだいに惹かれあってゆく。 さまざまな苦難を乗り越え、 やっとの思いで2人の幸せを手に入れた矢先、 主人公は不治の病で死んでしまう。 悲しみに明け暮れる黒人少女。 しかし、奇妙な死体を前に泣きじゃくる黒人の姿に、 同情する者は誰ひとりとしていなかった。 「こんな肌の色でさえなければ」 と嘆く少女は、自らの皮を剥ぎ、 目の前の死体と同じ姿になることで、 はじめて差別という足かせから解放されるのであった。 っていう小説を書いたら売れるんじゃないだろうか。